駅係員へのクレームは、本人に確認が行きます。1回では処分になりません
駅で嫌な思いをして、言おうかどうか迷っている。言ったところで意味があるのか、それともあの人が困るだけなのか——そう考えている方に向けて書きます。
答えを先に書きます。名指しでお伝えになれば、その駅係員本人に確認が行きます。ただし聞かれるのは「事実はどうだったのか」で、1回のことで処分になることはありません。
私は駅係員、運転士、指令員の順に現場にいました。書くのは、クレームを受けていた側から見た事実です。どこに言えば効くかではなく、言ったあとに何が起きているかの話です。
なお、駅係員の態度が悪く見える理由そのものについては、駅係員の態度が悪いと感じる本当の理由に書きました。この記事は、その先を扱います。
まず、話を聞かれます。謝るのは、そのあとです
窓口や改札で強く言われたとき、駅係員が最初にすることは謝罪ではありません。話を聞くことです。
理由があります。お客様は怒っていても、話しているうちに怒りがおさまることがあるからです。誰かに伝えたいだけ、ということが実際にあります。
ですから、途中で遮らずに、最後まで聞きます。
共感しながら謝り、次にどうするかを添えます
話を聞いたうえで、こちらに非があれば謝ります。
このとき意識するのは、お客様の怒りに共感しながら謝るということです。人は、共感されると「この人は分かってくれた」と感じます。それだけで収まることがあります。
そして、謝って終わりにはしません。
- まず、最後まで話を聞く
- こちらに非があれば、共感しながら謝る
- なぜそうなったのかを説明し、今後どうするかを添える
- 長引きそうなときは、上司を呼ぶ

3の「今後どうするか」が大事です。再発を防ぐために指導します、という形で具体的に伝えます。それがないと、謝罪だけが宙に浮きます。
4の上司については、呼ばれた側も大変です。上司はその場で収めるしかないので、親身に話を聞いて納得していただくことになります。
ひとつ、書いておきます。このやりとりは、最初からメモを取りながら進めています。隠れて記録しているわけではなく、目の前でメモします。あとで正確に共有するためです。
名指しなら、本人に確認が行きます
「あの駅員に言われた」と名指しでお申し出があった場合、その駅係員本人に確認します。
ただし、確認するのは次のことです。
- どう対応したのか
- 何がクレームになっているのか
- 事実はどうだったのか
あなたの名前は、ここでは重要ではありません。誰が言ったかではなく、何があったかを確かめます。ですから、名乗りたくなければ名乗らなくて構いません。
一方、全員で共有すべき内容は、名指しではない形で伝えられます。「こういうお声があった」という形です。
伝わるまでの時間は、その日のうちから数日以内。方法は口頭が多く、全員に関わる内容であれば書面になります。共有すべきことは、朝の点呼で伝えられます。点呼は駅係員の一日の始まりにある、全員が集まる場です。
つまり、あなたが伝えたことは、翌朝の点呼で全員が聞いている可能性があります。
1回では処分になりません。でも記録は残ります
「あの人を辞めさせてほしい」という言い方をされることが、たまにあります。
正直に書きます。1回のことで処分になることはありません。
ただし、何も起きないわけでもありません。指導はされます。そして記録が残ります。同じことが重なれば、そのぶん指導の重みが増していきます。
そして、これは私が見てきた範囲での話ですが——何度も繰り返す人は、自然といなくなります。処分で辞めるというより、続かなくなる、という形で。
辞めさせろという声をいただいたときは、内容を伺って、本当にこちらに非があるのかを確認します。非があるのであれば、上司から「再発防止のため確実に指導します」とお伝えして、納得していただきます。
どこに言っても、結果はたいして変わりません
不満を伝える方法は、だいたい3つあります。
- その場で駅係員に直接言う
- お客様センターに電話する
- Webのお問い合わせフォームから送る
その場で言われたものは、駅で処理できれば駅で処理します。内容によっては本社が対応します。お客様センターやお問い合わせフォームに届いたものは、その担当部署が対応します。
経路は違いますが、結果はたいして変わりません。
違うのは、ひとつだけです。その場で言うと、目の前の駅係員が嫌な思いをします。
面白いもので、その場では抑えられなかった感情が、少し時間が経つとおさまっていることがあります。
とはいえ、必要だと思ったことは伝えていただいたほうがいいです。伝わらなければ、何も変わりませんから。
一度だけ、理不尽だと思ったことを書きます
受ける側の話も、少しだけ書かせてください。
ダイヤが乱れた日のことです。次の列車がだいたい何分後に来るか、見込みをお伝えしました。「あくまで見込みなので、確実に乗りたいならホームでお待ちください」と添えたうえでです。
そのお客様は、いったん駅の外に出られました。そして戻ってきたときには、列車が出たあとでした。
「電車に乗れなかったじゃねぇかよ」と言われました。
このときは、理不尽だと思いました。
多いのは、電車に乗れなかったことへのお声です。他社線との接続が悪かった、急病人の対応で遅れた——現場ではどうにもならないことも含まれます。日本では電車が時刻どおりに来るのが当たり前になりすぎていて、1分の遅れでもお声をいただくことがあります。遅れがどうやって広がっていくのかは電車が遅延する本当の理由に書きました。
台風や大雪で止めている日も同じです。安全を確保できないために止めています、とお伝えしても、その日その場に来られた方には、なかなか届きません。
ひとつだけ、実用的なことを書いておきます。他社線の遅延情報は、駅で聞くより乗換案内アプリの通知のほうが速いです。よく使う路線を登録して通知をオンにしておくと、駅に着く前に分かります。駅係員が把握するより早いこともあります。
まとめ
- 駅係員は、謝るより先に話を聞きます。怒りは、話すだけで収まることがあるからです
- 非があれば、共感しながら謝り、今後どうするかを添えます
- やりとりは、目の前でメモを取りながら進めています
- 名指しなら、本人に確認が行きます。聞かれるのは「事実はどうだったか」。あなたの名前は重要ではありません
- 全員に関わることは、名指しではない形で共有されます。その日のうちから数日以内に
- 1回では処分になりません。ただし指導はされ、記録は残ります
- どこに言っても結果は変わりません。違うのは、その場の駅係員が嫌な思いをするかどうかだけです
伝えること自体は、悪いことではありません。ただ、伝わり方は、たぶんあなたが思っているものとは違います。そして、伝わらなければ何も変わらないのも本当です。
駅係員の態度が悪く見える理由そのものは、別の記事に書きました。あわせてどうぞ。

