鉄道員の仕事

駅係員室は、現場では駅務室と呼びます。具合が悪いときは中で休めます

駅の改札の横にある、すりガラスの小窓がついた灰色の業務用の扉を写した写真に「駅係員室は駅務室と呼びます」という文字を載せたアイキャッチ画像
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駅の改札の横に、駅員(駅係員)がいつも出入りしている部屋があります。

あの部屋を何と呼べばいいのか。具合が悪くなったとき、あそこで休ませてもらえるのか。実際に、そう検索している方がいます。「駅員室で合っているのか分からない」「なんと言えば伝わるのか」という質問も見かけました。

私は駅係員として、勤務時間の大半をその部屋で過ごしていました。中にいた側から、扉の内側のことを書きます。

先に結論です。現場では「駅務室」と呼びます。そして、具合が悪いときは中で休めます。

その部屋は「駅務室」「駅事務室」と呼びます

私のいた現場では、あの部屋を駅務室、または駅事務室と呼んでいました。

「駅員室」という言い方が間違いなのではありません。ただ、現場で日常的に使っていたのは駅務室のほうです。

そのうえで、ひとつお伝えしておきたいことがあります。この部屋の名前を、お客様が覚えておく必要はありません。

改札の横の窓口に声をかければ、その窓口の内側が、もう駅務室です。「あの部屋は何と言うんだろう」と迷っているとき、その部屋はすでに目の前にあります。名前を言って案内してもらう場所ではないのです。

呼び方は会社によって違うこともあります。それでも、用件さえ伝えれば通じます。名前が分からないせいで声をかけられない、という心配はしなくて大丈夫です。

中には何があって、そこで何をしているのか

部屋の中にあるのは、ホームや改札を映すモニター、内線電話、放送の設備、忘れ物、きっぷの機械です。

そして駅係員は、働いている時間の大半を、この部屋で過ごします。改札やホームに立っている時間のほうが短いくらいです。

ターミナル駅のように窓口が複数ある駅では、どの窓口を担当するかが作業ダイヤで決められています。作業ダイヤというのは、列車の運行ダイヤのことではありません。駅係員の勤務の組み方のほうです。

手の空いた人が適当に出るのではなく、その日の持ち場があらかじめ割り振られています。

一日の流れそのものは別の記事に書きました。改札・ホーム・窓口がどう回っているかは駅係員の仕事内容は分単位で決まっているをご覧ください。

関係者以外が入れない理由は、現金です

駅務室には、原則として関係者以外は入れません。

理由は、見られたら困るものがあるからではありません。窓口と券売機で、現金を扱っているからです。

きっぷの発券も、精算も、券売機の集計も、すべてお金が動きます。そのお金を置いている部屋に、関係のない人が出入りする状態はつくれません。

扉が閉まっているのは、そういう理由です。なお、乗り越してしまったときの精算のやり方は電車の乗り越しをしてしまったらに書きました。

具合が悪いときは、中で休めます

ここからが本題です。

具合が悪くなったお客様には、中に入っていただいて休んでもらうことがあります。

案内する順番は、だいたい次のようになります。

  1. まずはホームのベンチ
  2. 気温や環境しだいで、駅務室の中へ
  3. 救護室のある駅なら、救護室へ
  4. 必要であれば、救急車を呼びます
具合が悪いお客様をどこへ案内するかを4段階で並べた図。1.ホームのベンチ、2.駅務室の中へ、3.救護室へ、4.救急車を呼ぶ。
具合が悪いときの案内の順番。※元駅係員の実体験にもとづく。

「駅の医務室」という言葉で検索している方がいます。それにあたるのが救護室です。駅務室とは別に、休むための部屋が分かれている駅があります。

ただし、どの駅にもあるわけではありません。駅舎そのものが広い大きな駅でなければ、救護室までは用意されていないことが多いです。

そして、ここが大事なところです。この案内の順番は、決まりとしてそうなっているわけではありません。その場の判断です。暑い日にホームのベンチへ座っていただくのは危険ですし、寒い日も同じです。目の前の方の様子と、その日の気温を見て決めています。

断ることはありません。遠慮せず声をかけてください

「休ませてほしい」と言って断られることはあるのか。ここをいちばん気にされている方が多いと思います。

体調不良などの緊急時であれば、快く応じます。

無理をしないでください。何かあれば、些細なことでも構いません。駅係員に申し出てください。

混んでいるから迷惑だろう、ひとりしかいないみたいだから言いにくい。そう思って声をかけられない方がいます。その遠慮のほうが、私たちには困ります。倒れてから気づくことになるほうが、お互いに大変です。

「駅員室のベッド」は、仮眠室のベッドとは別物です

「駅員室 ベッド」で検索している方がいます。これは、二つの話が混ざっています。

ひとつは、駅係員が泊まり勤務のときに使う仮眠室のベッドです。こちらはお客様が使えるものではありません。実際の仮眠室については駅係員の仮眠室は快適ではないに書きました。

もうひとつが、お客様が休むための簡易ベッドです。私のいた会社では、これを置いている駅がありました。

ただし、これは制度として決まっているものではありません。私のいた会社がそうだった、というだけの話です。

ですから、横になれる場所があるかどうかは駅によります。「駅員室に行けば必ずベッドがある」というものではない、とだけ知っておいてください。

まとめ

  • あの部屋は、現場では駅務室(駅事務室)と呼びます
  • 関係者以外が入れないのは、現金を扱っているからです
  • 具合が悪いときは、ベンチ → 駅務室 → 救護室の順で案内します
  • 「駅の医務室」にあたるのが救護室。ただし、ない駅のほうが多いです
  • 断ることはありません。些細なことでも声をかけてください

駅ではなく、電車に乗っている最中に具合が悪くなったときは、少し事情が変わります。夏は動かせないことがある、という話をこちらに書きました。

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